寒いね

友達の結婚式

私には、中学の親友が2人いる。 2人とも顔が可愛いのに性格が悪い。そんな所が足りてないなぁと思って愛おしい。

週末、その内の1人の結婚式へ参加した。大学生の頃から付き合ってた旦那さんと6年の交際をへてらしい。初めて、二人でいる様子を見たけど聞いてた通りで、月並みな言葉だけどお似合いだった。

14歳から24歳になった彼女は美しく、それだけで胸がいっぱいだった。

中学3年生の冬、私たちは塾がない日はいつも一緒に帰った。3人で何時間もお互いの恋バナをして、「寒すぎる」と足の指がかじかみ感覚が無くなった頃にようやくバイバイするのがお決まりだった。中学生の恋愛の悩みは大抵、高校に入った後の恋人との時間の作り方だったり、彼氏の女友達の悪口ばかりだった。今となれば、そのくだらない下校時間が、きびしい東北の寒さが、私たちをこの10年間の友達として引き留めてくれていた。

 

友達が結婚するというのは、嬉しい半面私は寂しいという気持ちが非常に強かった。

思えば、最初から私は友達とライフステージが変わることに執拗に悲しく感じていた。

中学の卒業式の日、4月からそれぞれ違う高校に行くから毎日会えないというだけで私は大号泣していた。卒業式本番前の、歌練習で校歌を歌うだけでボロボロ泣き、つられて親友も泣いていた。もっと言うと、私は当日おかんの車で送ってもらう車内でSHISHAMOの「ともたち」を聴いて号泣してきたばかりだったのに。

https://spotify.link/nzINSfHYyJb

 

高校に上がって、会う頻度は減ったものの、テスト期間はどの高校も同じ時期だったので部活停止期間は放課後集まって、地元の図書館で一緒に勉強していた。 

勉強4割で、6割は友達の愚痴だったり、彼氏の愚痴を語った。たまにやってらんねー!と言ってイオンでプリクラを取り、スタバを飲んで、同じ駅に降りて、SNOWで自撮りし、はしゃぎ疲れて帰った。

 

大学生へ進学してからは、私が北海道から帰省するとふたりが時間を作ってくれて3人で遊んだ。1人が車を持っていたので、私たちの行動範囲を広がるかと思ったが、決まって行くのは盛岡のイオンだ。そこで話す内容も大きくは変わらず、バイト先の先輩がキモい、彼氏が元カノからお土産を貰っていた、そろそろ成人式だけど同窓会で何があるか分からないよね、とか。共通の話題がそろそろ3人ともないので自ずと近況報告になっていた。 

 

そして私たちは今年、25歳になる。 

 

ドラクエIXを通信していたあいつは結婚してパパになり、一緒に文房具屋でお揃いの鉛筆を買って嬉しくて筆箱の中でずっとその鉛筆だけ背高のっぽだったあの子も、お母さんになっていた。衝撃だった。私の知っている彼らは、ランドセルを背負ってる、ジャージを泥んこにしている学生だから。

 

私も、社会に出ている以上、いつまでも子供でいられないから、自分を奮い立たせ就職し、上京して一人暮らしをして、お酒を飲んで少しは大人になった気でいた。だけど、現実では、同じ悩みで悩んでいた同級生が、気づけば家族を作り、親になっていた。そんな大人の階段を登っていく様子に、置いてかれている気がして、否応に寂しい。

 

住む場所も、ライフステージが変わっても、また一緒に、甘い甘いスタバを飲んで、くだらない愚痴を聞いて、私の好きなそのクシャッとした笑顔で笑ってくれるのだろうか。

こいつ、まだそんなことで悩んでるのかと、あまりの人間レベルの低さに絶望しないでいてくれるだろうか。

共通の趣味がなくても、同じ悩みを抱えているわけじゃなくても、おばあちゃんになるまで、どうか友達でいて。私たちの過ごした10代のあの放課後を覚えていて欲しい。忘れていても、私の思い出話でよければ、聞いて欲しい。

ともだちへ、あなた方が、どうか、辛いことがあっても、嬉しいことがあっても、健やかに生きてね。また岩手の美味しい冬の空気を、また今年も一緒に吸いましょう。もう、いい大人だから、足がかじかむ前にお家に帰って、お酒でも飲んでまたあの頃の話をしよう。